南西フランスからボンジュール 

耳の聞こえないルシル塚本夏子が、聞こえる世界と聞こえない世界の境界線を溶かす挑戦をつづります。

課外授業の引率で映画館へ

Ciné-concert | Chaplin: The Circus | 19.09.2021 | Flagey - Brussels  PhilharmonicBrussels Philharmonic
(画像はネットからお借りしました)

長男が9月に小学生になってから、学校から出される課題をはじめ教科書の透明ビニールシート貼りなど初体験もいくつかあり、そのたびにユーチューブ先生のお世話になったり、先輩ママたちの体験談を伺ったりして、あたふたしている新米ママです。

今日は初めて「課外授業」の引率を体験しました。
遠足や美術館巡り、映画鑑賞といった外出の授業の時には、担任の先生以外に希望する親が数名付き添う必要があり、連絡帳に案内が貼り付けられます。

学校から帰ってきた長男、
「木曜日に課外授業で映画館に行くんだけど、ママ来れる?仕事はない?」
「木曜日午前中だよね?」スケジュールに空きがあったので、「ママ大丈夫だよ!」と返事しました。ところが火曜日、帰ってきた長男、

「引率する保護者もう決まっちゃったみたい・・。先生が言ってた。Aちゃんのママになっちゃったんだ。だからママ来れないよ」と、とても残念そう。

そこで連絡帳に先生に「明日の映画の引率なのですが、今からでも大丈夫でしょうか。私もよければお手伝いさせていただきたいのですが。映画のチケットを払うことになっても構いません。」といった内容を記して、長男に、先生に直接渡してもらうように頼みました。朝の送迎タイムでは門のところに担任の先生が立ちあわないため、話す機会がないのです。案の定先生から快諾が出ました!

引率が決まった長男、とても嬉しそうで
「明日はママと映画にいいく!」
「明日はママが学校に来てくれる!」
「◯◯ ←(弟の名前)明日はママと僕は映画を一緒に観にいくんだ、いいだろ」
と繰り返し、弟にヤキモチを焼かせていました。

フランスの小学1年生と2年生の合同クラスと、小学2年生のみの2クラス、合計46人の子供達は2列になって並び、その最後尾を担任の先生と並んで、映画館に向かいました。
せめて後ろ姿だけでも撮りたかったのですが携帯を家に忘れ、撮りそびれました・・。
学校のすぐ横が映画館なので引率も楽です。

映画館にはベビークッションがたくさんあり、部屋の隅へ子供達は一目散に取りに行きます。
映画館の重いシートを抑えながらクッションを置くのが小さい子には難しかったようで、
サポートしてあげました。何人かの子供達が私がもう一人のフランス人ママと筆談で会話する様子を珍しそうに見ていました。
「聞こえないお母さんがいる」ことを知ってもらうことも、今回引率を希望した理由の一つなので、珍しがっていいんですよ!
そして「◯◯◯←(息子の名前)くんのお母さんって耳が聞こえないんだね」とどんどん知ってもらおうと思っています。

映画はチャップリンのモノクロ映画「サーカス」。フランス語字幕もついていましたが、ほとんどサイレンス映画、1時間20分、私も子供たちと一緒に笑いながら楽しみました!

とても面白いギャグではあるものの、ライオンの檻の中に入ったり、サーカスの綱渡りをしたりと、チャップリンの体を張った巧みな演技、そして字幕がなくても十分に視聴者に伝わる、ろう者並みの表情の豊かさに今更ながらに驚かされます・・・

帰り、担任の先生と最後尾を歩きながら学校に戻りましたが、先生が持っていた冊子を尋ねると、見せてくださいました。
「今日みた映画はなに?」
「誰が出てきた?」
「なにが面白かった?」
といった質問が並べられていて、これからクラスで話し合いをするのだそうです。
楽しそう!私も生徒になりたい。笑

とても新鮮で楽しい経験でしたが、息子が私が来ることが嬉しそうだったことが何より嬉しかった。
これからも積極的に、こういった行事に関与していきたいと思ったのでした。